3Esグリーフリカバリー® ブログ Blog

「美化」や「悪者化」がリカバリーの障壁になる

受講生からの感想を許可をいただいてここにご紹介します。

美化したり、大切な人を理想像で覚えていると、その相手との感情的な関係を完結させることはできなくなる、とこのコースで学び、まさに私も、相手を美化していたことに気がつきました。

グリーフリカバリーに参加したあき(40代、女性)です。
前回、まだ生きている母との関係性についてグリーフリカバリーを行って、グリーフに気づいた話を書きました。もうひとつ、グリーフリカバリーを通して気づきがあったのでご紹介します。

崇めていた母も一人の人間だということに気が付く

それは、「母という人間、母との関係性について、より正しい認識や理解ができた」ということです。
グリーフリカバリーの課題の中では、関係図というグラフをつくって、相手との間に起きた出来事を見ていく作業をします。この中で、母と私の間の出来事だけでなく、家族の間に起きた出来事についても、いろいろと思い出しました。

私が近所の家のウサギを逃がしてしまい母へ苦情が来たことや、兄が友だちと遊んでいてその友だちにケガをさせてしまい謝りに行かなければいけなかったこと、働きざかりだった父がガンになって2度ほど入院して、母は看病しながら家事と仕事をしていたこと。いつもは明るい母が、たまに家の隅で暗い顔をしていることもあったなど。

これまで私は、母は、社交的で賢く、子どもにもあまり弱みを見せない人だったので、「母は前向きでなんでもできる人」だと崇めてきました。
でも、このワークをしたことで、母も一人の人間で、大変な経験もあり、いろんな感情をもって生きてきた人なんだということに気がつきました。本来、人間は、いろんな複雑な側面をもっているのに、私のほうが、「ポジティブで明るい母」というレッテルを貼り、理想の姿を見ていたのでした。

これは、使用されるテキスト、グリーフリカバリーハンドブックの中でも「美化すること」と表現されています。よくある例として、亡くなった人に対して、「全く非の打ちどころのないひとでした」とか「生涯一度も過ちを犯さなかった」と話すグリーバーが結構いるという話が書かれています。
テキストの中では、死別した故人に対して、「美化すること」がリカバリーを難しくしているといった次のような内容が紹介されています。

「大切な人の真の姿ではなく、あなたの理想像で覚えていると、その相手との感情的な関係を完結させることはできなくなります(ハンドブックから抜粋)

美化よりも正確に関係性を捉えることがリカバリーへの鍵

「美化する」の逆で「悪者化する」ケースもあるそうです。「悪者化する」とは、例えば、ある人との関係性において、虐待され続けたなどの悪い側面に固執してそこだけにフォーカスするといったこと。そして、「美化する」「悪者化する」ということは、傷ついた心の働きで、どちらも「関係性のすべてとまっすぐ向き合わないということ」なんだそうです。
テキストに、こんな記載があります。「死別や離婚した相手のことをまだ愛しているとしても、その人は完璧な人間ではなかったはずです。あなたが完璧でないのと同じように。どんな関係性も良い時もあれば悪い時もあるものです」
つまり、美化や悪者化するよりも、正直に正確に真実を捉え、語ることがリカバリーでは重要なのですね。

私は、母との関係性を細かく振り返ることで、母に対する認識のゆがみに気づき、母のことを、明らかに以前よりもフラットに、正確に見れるようになりました。
私は母への理想や期待を手放すことができ、これを機に関係性はグッと良くなりましたし、何より私自身がラクに母と接することができるようになりました。

私と母の関係性は、前からそこまで悪くはありませんでしたが、私は常に劣等感のようなものを感じていました。しかし、今回のワークを通じてそういった思いはなくなりました。母が亡くなってから気づくのではなく、まだ母が生きているタイミングでグリーフリカバリーに取り組んでほんとうによかったと思っています。

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