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失くしていたものに気づかされた「グリーフ年表」

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母を亡くしてから15年が過ぎました。

長い間癒えなかった悲しさも、

5年ほど前からは徐々に薄らいできた自覚はありますが、

それでもグリーフリカバリーのワークショップに参加しようと思った理由は、

母を亡くして以来、なにかのひっかかりを感じたまま生きている感覚があったからです。

 

私は、50代の女性で、関東在住の会社員です。

 

年齢からくる体調の変化や社会状況など、

複数の要因はあると考えられますが、

母との死別をずっとひきずっているように感じている自分がいました。

そこで、母との別れに区切りをつけたい、

そんな思いで参加を決めました。

 

ワークショップではいくつかのワークに取り組みます。

「グリーフ年表」を作成するワークでは1枚の紙に、

自分がこれまでの人生で体験した、

うれしかった出来事や悲しかった出来事を、

体験した年齢とともに書き記していきます。

物心ついた時の記憶からはじめようと思ったのですが、

私には幼かった頃の記憶はほとんどありません。

そこで、最近の記憶からさかのぼることにしました。

母の死――これは私の人生で一番つらかった思い出です。

その出来事には、納骨や火葬場、病室やICU

様々な悲しい出来事が含まれています。

それから社会人、学生時代、中学生の頃……と順に書き出していきます。

大親友の死、自ら命を絶ってしまった同僚、交通事故で亡くなった同級生、

かわいがっていた愛犬の死。

衝撃的だった出来事の数々が、

その当時の情景とともにしっかりと浮かび上がります。

でも、小学生の頃や10歳未満のことになると、

最初はなかなか思い出すことができませんでした。

家の中や学校の様子は覚えているのですが、

どんなふうに過ごしていたかを思い出せません。

いったん書くことをやめて、

就寝前や朝目覚めてすぐの時間をつかって思いだしてみることにしました。

すると、忘れてしまったと思っていた記憶が少しずつよみがえり、

スルスルと芋づる式に掘り起こされてきたのです。

授業参観に来た母の様子、遠足や運動会のこと、

食卓の上で宿題を手伝ってくれた日常生活でのひとコマ……。

楽しかったことやうれしかったことは、

まるで深い池の底に沈んでいたかのようです。

そんな昔のことはもう忘れたのだと思っていましたが、

実はそうではなく、記憶にしまいこまれていただけでした。

不思議とつらかった出来事は、すぐにはっきりと思い出せたのです。

悲しい出来事はいくつもありましたが、

特に死に別れが自分にとって大きなダメージだったことを理解できました。

過去をはんすうせずに、現在のことだけを考えて、今を生きることがよい、

という考え方もあります。

たしかに、日常的に過去ばかり振り返っていれば、

時間もエネルギーも無駄に消耗してしまうでしょう。

でも、もし自分のなかで決着をつけていないことがあるなら、

一度、自分の人生の棚卸しをしてみると、新たな視点に気づけると思います。

 

このように、過去の痛みの中に、今の自分を縛り苦しめているものを見つけ、

それを解決していくのがグリーフリカバリーです。

リカバリーをすることで、抱えていた思いを理解し、

それに決着をつけ、今をもっと大切に感じながら生きられるようになるのです。

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